◯発達障害と虐待
①子どもの発達障害と虐待
発達障害の子どもの特徴
・落ち着きがない。よく動く。じっとしていることが難しい。
・集団行動が苦手。
・大人からの指示的な言葉・抽象的な言葉が伝わりにくい。
・すぐカッとなり、友だちとトラブルを起こしやすい。
・強いこだわりがあり、生活に支障をきたすことがある。
・集中ができない。
子どもは障害ゆえにこうした姿を見せているので、力ずくで行動を改めさせようとするのは逆効果です。それぞれの子どもに合った適切な対応を探りながら根気よく関わり、子どもの充実した毎日や発達を支えていくことが求められます。
同時に保護者を支えていくことも大切です。子どもの発達障害の特性が保護者の育児ストレスを強め虐待につながることもあるからです。
もともと子どもに障害はなくても、保護者の虐待行為が子どもの心身の育ちに影響を及ぼし、発達障害と同様の子どもの特徴が現れてくることもあります。発達障害と被虐待児の行動特徴の多くは重なり、見極めが難しいところがあります。
保育を進める中で、子どもの姿に虐待との関連が感じられるときは、関係機関と連携して対応していくことが求められます。
②発達障害を持つ保護者への理解と対応
子どもの発達障害は、保育園生活の中でその特徴的な行動がよく見えるので、早期発見や対応につながりやすい面があります。しかし、保護者の発達障害に気づくことは困難です。「困った保護者」だと捉えていた保護者がじつは発達障害を抱えていて、支援が必要な保護者だったことが後になって分かることもあります。
事例 「困った姿」の背景にあったもの
・保育園に来てくる子どもの服の種類が多い
→家の中はインターネットで購入した箱が山積みになっていて、母親はカード破産を繰り返すほどの買い物依存症であることが分かった。
・いつもお迎えの時間に遅れる母親
→決められた仕事がこなせず、残業せざるをえない状態だということが分かった。
・子どもの送迎に関わらない父親
→保育園への道順を覚えられず、子どもを送ろうとしたが道に迷い続け、職場に遅刻したことがあった。
大人の発達障害について診断や支援を行うには専門的な知見が必要です。保健所や子ども家庭支援センターなどの関係機関につなぎ、
移動支援(保育園への送迎など)や家事支援など、大人の発達障害を支えるための様々な支援があります。各機関の専門性を生かした支援体制を確立することが、虐待予防の観点からも重要です。