DV法が日本社会に与えたインパクト
①被害の顕在化が進み、DV被害者が声を出しやすくなった。
DV関連の相談件数は右肩上がりで増え続け、全国のDVセンターへの相談件数は、DV防止法施行当初の3万6千件(2002年度)から11万9千件(2019年度)を数えるまでに至りました。
②DV被害者支援は、多様な形態の女性に対する暴力の再発見に結びついた。
DVのある家庭における夫から妻への性暴力や子どもへの性虐待の実態が明らかにされ、性暴力や性虐待をめぐる法制度の不備や社会資源の不足が浮き彫りになりました。
③DV被害者が抱える複合的困難が明らかになった。
女性たちは暴力による心身の不調や疾病、障害、離婚や子どもの問題に悩み、貧困や社会的孤立などに直面しています。そして、その子どもも同様に複合的困難にさらされていることがありますが、現在DV法では子どもは「同伴者」にすぎず、被害からの回復の権利が保証されていないのが現実です。
④制度の間にいる女性たちや、社会的マイノリティとされてきた人々の人権が置き去りにされている状況が表面化した。
児童福祉法の対象年齢の18歳を超えるが、親権の対象である20歳未満の若年女性(18歳、19歳)は、児童相談所と婦人相談所の間に置かれており、親が暴力の加害者であっても、親の同意がないと福祉の支援が受けられないという実情があります。